飲食店の税務

月別アーカイブ: 5月 2014

新年度に入り消費税率が引き上げられてから1月以上が経過しましたが、皆さんのお店の状況はいかがでしょうか。

 

私のまわりでは、当初の想定の範囲内で収まっているところが多いようですが、今後の見通しについては予断を許さないと感じている方が多く、楽観的な見方をしている方は少ないようです。

 

ところで、先日あるラーメン屋さんへ食事に行ったときにメニューを見ていて感じたことがあります。

 

そのお店ではそれぞれの商品が980円(税抜)というようにいわゆる外税表示の記載になっていたのです。

 

消費者に商品の販売やサービスの提供を行う事業者は、値札やチラシ等にその価格を表示する際に消費税額を含めた価格を表示する義務があります。

 

これを「総額表示義務」といい、今までの原則的取扱いとされてきました。ではなぜこのお店のメニューは外税表示になっていたのでしょうか。

 

それは、今年から来年へかけての2段階での消費税率引き上げの影響を考慮して、総額表示の義務が「転嫁対策特別措置法」という法律の中で緩和されているためです。

 

この法律では他に事業者間取引における大企業による消費税の転嫁拒否行為の禁止や消費税分を値引きしている旨の宣伝広告の禁止、独占禁止法の例外としての転嫁・表示カルテルの容認などを定めています。

 

そして、その中のひとつとして値札変更などの事業者の事務負担の軽減や値ごろ感の維持といった目的のために外税表示を認める旨の定めがあります。

 

ですが、消費者としてはいくら払えばその商品を入手できるのかという支払総額が一番知りたい情報ではないでしょうか。

 

本体価格の表示だけだと支払総額を頭の中で計算しなければならなくなってしまいます。

 

多数の商品を取り扱っている事業者の方の負担も理解できます。

 

実際、私のお客様からも色々苦労話を聞かされ大変な状況だということは分かっているつもりです。

 

ですが、一消費者の立場に立つとこうも見方が変わってしまうものなのかと、私自身今後の対応を色々と考えさせられる一件でした。

 

改めて「転嫁対策特別措置法」という法律の内容を見直してみたところこの特例措置は29年3月31日まで適用が認められていることが分かりました。まだ、しばらくこの価格表示の問題は続きそうです。

 

交際費課税制度の概要

さて、今回は平成26年度税制改正で消費税引上げに伴う景気対策の一環として見直された交際費課税制度について取り上げます。

 

まずは現行の制度を確認してから、変更内容を抑え、最後に適用にあたっての注意事項についても触れておきます。

 

現行の交際費の取扱いでは、会社が支出する交際については原則として損金に算入することができません。

 

ただし期末の資本金が1億円以下の中小法人については年間800万円までの定額控除限度額が設けられていて、この限度額を超える部分だけが損金不算入とされています。

 

ちなみに個人の事業所得の計算上はこのような制限は設けられていません。交際費とは租税特別措置法上で、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為」と定義されています。

 

他に租税特別措置法施行例や租税特別措置法関係通達などにも交際費に関しては細かい規定がありますが、その支出が交際費に該当するかどうかは、税務調査でよく問題とされる事項です。

 

中小法人にとっては、年間800万円という定額控除限度額の拡大によって損金不算入部分が生じる会社はかなり少なくなったものと思われますが、本来役員個人が負担すべきものを交際費として処理しているような場合は、交際費の総額が年間800万円以下であっても役員賞与として損金不算入になり、役員個人に所得税が課されることになります。

 

また、平成18年度改正で参加者1人当たり5,000円以下の接待飲食費については、一定の書類を保存することを条件に交際費課税の対象から除外されることになっています。

 

ただし、ここで言う接待飲食費の中に社内飲食費は含まれませんので、ご注意ください。社内飲食費とは役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出する飲食費のことです。

 

交際費課税改正の内容

 平成26年度改正によって、会社が支出する交際費のうち、接待飲食費の50%相当額は損金に算入できるようになりました。

 

この取扱いは全ての会社に適用されるため、いままで全額損金不算入とされていた資本金1億円超の会社に与える減税効果はそれなりに大きいのではないかと期待されています。

 

すでにこの減税措置を売りに、大企業の接待需要を見込んで営業をかけているところもあるようです。

 

なお、資本金1億円以下の中小法人に認められていた年間800万円の定額控除限度額は適用期間が2年間延長されているので、中小法人はどちらか有利な方を選択して申告できることになります。

 

具体的には、接待飲食費の額が年間1,600万円を超える場合には新制度、それ以外は旧制度を選択して申告することが有利になります。

接待飲食費の内容

 上記交際費課税の見直しに伴い、「接待飲食費に関するFAQ」という情報が国税庁のホームページに載せられています。

 

以下では、このFAQの中から特に重要だと思われる部分について一部抜粋して紹介します。

 

[Q2]どのような費用が飲食費に該当しますか。

 

[A]次のような費用については、社内飲食費に該当するものを除き、飲食費に該当します。

 

イ 自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」

 

ロ 飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等

 

ハ 飲食等のために支払う会場費

 

ニ 得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」

 

ホ 飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」

[Q3]飲食費に該当しない費用には、どのようなものがありますか。

 

[A]次に掲げる費用は飲食費に該当しません。

 

{1} ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用

{2} 接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する送迎費

{3} 飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用

 

[Q6]接待飲食費については、所定の事項を帳簿書類に記載することとされていますが、具体的にはどのような事項を記載することになりますか。

 

[A]接待飲食費については、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除きます。)で、かつ、法人税法上で整理・保存が義務付けられている帳簿書類(総勘定元帳や飲食店等から受け取った領収書、請求書等が該当します。)に、飲食費であることを明らかにするために次の事項を記載する必要があります。

 

イ 飲食費に係る飲食等のあった年月日

 

ロ 飲食費に係る飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係

ハ 飲食費の額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地

 

ニ その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項

 

 主に注意すべき点は、接待飲食費に該当するかどうかの判断と、必要な帳簿書類の保存です。

 

帳簿書類の保存については、通常領収書に上記の必要事項の多くが記載済みであると思われるので、別途参加者の氏名・関係を記載することで足りると思われます。

 

 さらに詳細を確認したい方は、国税庁のホームページをご参照ください。

 

トップページから税について調べる-パンフレット・手引き-法人税関係とたどっていくと、改正の概要関係という項目の中に接待飲食費に関するFAQ(平成26年4月)があります。

 

 この改正が、飲食店全般の売上拡大に貢献することを期待しましょう。

 

税理士 荻原 岳志

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