飲食店の税務

月別アーカイブ: 4月 2014

皆さん、ついに4月1日から消費税率が引き上げられました。

 

様々な部分で影響がでていることでしょう。

 

値札の張り替えやレジの設定変更など、

システム面での対応も一苦労だったと思います。

 

経理処理をするに当たっては

今後個々の取引に適用される税率の確認に時間を割かれそうです。

 

また、それぞれの商品の値段を

いくらにするかも色々迷われたのではないでしょうか。

 

ちなみに、日本では4月1日から

一斉に消費税率8%を反映させた値段表示へ変更するために、

営業時間を短縮してまで全ての商品の値札を張り替えたところが多かったようです。

 

度々、テレビのニュースなどで放映されていたので

ご覧になられた方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、海外ではこのような対応を取っている国は見当たらないそうです。

 

外国では、消費税も企業の経済活動のコストの一部だという認識が強いようで、

消費税率の引き上げによるコスト上昇をいかに販売価格に転嫁させるか

という視点から値決めをするそうです。

 

基本的に商品の値段は需要と供給の関係で決定されます。

 

人気の高い商品は多少値段を引き上げてもそれ程販売数量が減ることはありませんし、

逆に人気のない商品は少しでも値段が上がれば大幅に販売数量が減ってしまいます。

 

このように、海外では消費税率の引上げは、

原材料コストの上昇への対応と同じ様に、

受給の動向を見ながら日々行われる価格改訂の一要素に過ぎないので、

ある特定の日を境に一斉に価格を変更するという発想がないそうです。

 

全ての商品について一律に同じ比率で値段を引き上げるという行為は

価格戦略としてはあまり好ましい方法とはいえません。

 

それでも外税表示を例外的に認めてまでも、

律儀に本体価格を据え置き消費税分だけを値段に反映させようとする姿勢は

実直な国民性によるものなのかも知れません。

 

今後の社会保障はどうなる

さて、今回の消費税率の引上げは社会保障改革の一環として

行われたことは皆さんもご存じかと思います。

 

しかし、消費税は引上げられたのに、

社会保障制度改革はあまり進んでいないとの批判もあります。

 

確かに消費税の増税による税収は全額社会保障費に回すことになっていますが、

今まで一般財源で手当てしていたものを特定財源としての消費税に置き換えた上で、

浮いた一般財源から公共事業費を捻出しているだけのようにも見えます。

 

現行の社会保障制度は、世代間の格差が大きく、

同じ世代間でもそれぞれが所属している制度によって格差が生じていると言われています。

 

日本の財政再建には、社会保障制度改革は避けては通れないものですが、

個々の具体的な政策レベルの話になってくると個人間の利害の対立が明確になってくるため、

典型的な総論賛成・各論反対の議論になりがちです。

 

しかし、あまり悠長なことは言っていられません。

 

現状のままだと今後も社会保障関係費の支出は

毎年3兆円ずつ増え続けていくと言われています。

 

仮に、歳出面で社会保障関係の改革がなされたとしても

急速な高齢化社会のもと、支出額は増えていくでしょう。

 

そうなると、更に財源の手当てが必要になってきます。

 

今の政府・与党は今後どのように財源の手当てをするつもりなのでしょうか。

 

増え続ける社会保障の財源

社会保障制度改革は必要です。

 

しかしそれが成功したとしても、社会保障関係の費用は増加し続けることが予想されます。

 

仮に支出の増加をそれに見合う税収増で賄おうとした場合、

対象となる税目は何が考えられるのでしょうか。

 

まず、最初に思い浮かぶのは消費税率の更なる引上げです。

 

27年10月には現行の8%から10%への引き上げられる予定です。

 

(最終的には今年の年末までに判断するようです。)

 

欧州では消費税が20%前後の国も多く、

スウェーデンに至っては25%となっています。

 

制度が異なるので単純な比較はできませんが、

数値的にはまだまだ日本には引上げの余地があります。

 

海外の投資家の中には、こののりしろが日本の将来の財政再建を期待させる

唯一の希望だと言っている人もいます。

 

消費税の再引上げの可能性はかなり高いのではないでしょうか。

 

次に考えられるのは、所得税です。

 

実際、ここ数年で確実に所得税は引き上げられています。

 

最近どのような改正が行われたのか、ざっと過去数年に遡ってみてみましょう。

 

(平成16年分の所得税から適用のもの)

 

・配偶者特別控除の廃止

 

配偶者控除の上乗せ部分として機能していましたが

専業主婦を優遇しているということで廃止されました。

 

現在は配偶者控除自体が女性の社会進出を阻んでいる

との理由で廃止を検討されています。

 

ただ、憲法に定められている基本的人権との絡みもあるので

協議は難航しているようです。

 

(平成17年分の所得税から適用のもの)

 

・老年者控除の廃止

 

65歳以上で所得1,000万円以下の人に認められていた

50万円の控除が廃止されました。

 

・公的年金等控除の見直し

 

65歳以上の人に認められていた

公的年金等控除の上乗せ措置が廃止されました。

 

(平成19年分の所得税から適用のもの)

 

・最高税率の引上げと税率区分の細分化

 

それまで4つの区分が6つの区分へと細分化されるとともに

所得695万円を超える人については税率が引き上げられました。

 

(平成23年分の所得税から適用のもの)

・年少扶養控除の廃止

 

16歳未満の扶養親族に対する扶養控除が廃止されました。

 

・特定扶養親族の範囲の縮小

 

16歳以上19歳未満(高校生を想定)の扶養親族を特定扶養親族から除外し、

控除額を63万円から一般扶養親族の38万円へ減額しました。

 

(平成25年分の所得税から適用のもの)

・給与所得控除の上限設定

 

給与収入が1,500万円を超える人の給与所得控除額に

245万円の上限が設けられました。

 

(平成27年分以降の所得税から適用のもの)

・最高税率の引上げ(平成27年より)

 

所得4,000万円超の人の所得税率が40%から45%へ引き上げられました。

 

・給与所得控除の上限引下げ

 

平成28年より給与収入1,200万円を超える人の給与所得控除額の上限を230万円に、

更に平成29年より給与収入1,000万円を超える人の給与所得控除額の上限を

220万円に引き下げるものとされました。

 

このように所得税は過去10年に渡り増税路線の道を歩み続けています。

 

中には、各種手当の支給を条件に所得控除額を制限されたものもありましたが、

手当の支給がなくなってしまった結果、増税措置だけが残されたものもあります。

 

今後も各種所得控除の縮小などで増税路線は

維持されるものと思われますが、消費税ほどのりしろはなさそうです。

 

最後に相続税です。

 

27年分から基礎控除が引き下げられ、

相続税の課税対象となる人が大幅に増えるだろうということは

以前お伝えしたとおりです。

 

ただし、相続税自体、全体の税収に占める割合が

それ程大きくないので大幅な税収の増加は期待できないでしょう。

 

他方で、法人税については国際的にも日本の実効税率は高いと言われており、

おそらく今後引下げに動くものと思われます。

 

その際、多少の課税範囲の拡大があったにしても

法人税単体で増税になることはないでしょう。

 

基本的に法人税は減税方向で検討が進むものと思われます。

 

景気拡大による税収の自然増という結果が一番望ましいのでしょうが、

それが難しい場合、消費税を中心に所得税・相続税の増税が予想されます。

 

そうなると、個人事業を営んでいる人は法人成りして

法人税減税の恩恵にあやかるべきということになりますが、

こちらもいずれ色々な形で法の網がかぶせられるものと思われます。

 

今後はより一層計画的な資金繰りが必要ということです。

 

税理士 荻原 岳志

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