飲食店の税務

月別アーカイブ: 3月 2014

確定申告期もそろそろ終了に近づいてきました。

 

皆さんがこの記事を読まれる頃には

既に申告手続きも終わっているかも知れません。

 

今年の申告はいかがだったでしょうか。

 

決算書や申告書の作成は年に1回の作業です。

 

毎年同じ事をやっていても思うように

はかどらないということもあったのではないでしょうか。

 

私もこの時期は申告書の作成に追われる日々が続きますが、

中には年に1回この時期にだけ連絡を取り合うようなお客様もいます。

 

そうなると去年の申告の内容を確認するだけで

何時間もかかってしまうということもあります。

 

毎年、来年のことを考えて少しでも効率よく業務を進められるようにと

試行錯誤しているのですが、どうしても時間に追われ、

場当たり的な対応になってしまっているような感じがします。

 

もっと、日々の改善活動の積み重ねを大事にしないといけないなと反省しています。

 

ところで、25年分の所得税の申告書を

作成していて目を引いたのは株式の譲渡所得です。

 

去年までは譲渡で損をした方が損失を繰り越す

というパターンが多かったのですが、

今年は利益が出て去年繰り越した損失と損益通算して還付申告をする

というパターンが多く見られました。

 

今は株の譲渡損失は配当とも損益通算できるようになっているので、

そのような形で去年から繰り越された損失を使われた方も多くいました。

 

中には、25年の1年間だけで数千万円の利益を出しているというお客様もいました。

 

これだけ株価が上昇しているということは、

普通に考えれば日本経済が確実に良くなっているということです。

 

ところが、このところ、日本の先行きを不安にさせるような統計数値が発表されています。

 

今回はその気になる数値である「経常収支」について考えてみます。

 

家計の実質所得

最初に先日日経新聞に掲載されていた

「円安が奪う家計の実質所得」という記事を紹介します。

 

2月20日付の夕刊でしたが、

インフレ率を政策目標とするリフレ派の考え方に疑問をなげかけるという内容です。

 

元々リフレという言葉には再膨張という意味がありますが、

経済学的には通貨の供給量を調節することで

デフレから脱却し安定的に物価を上昇させて景気を拡大させていく状況のことを意味します。

 

現在の日本の金融政策は基本的にこのリフレ派の考え方に沿ったものとなっていますが、

なぜこのようなリフレ派の考え方が問題視されるのでしょうか。

 

リフレ派の金融政策は、

まず貨幣の供給量を増やすことで為替相場を円安へと誘導させます。

 

その結果、海外からの輸入価格は引き上げられますが、

徐々に輸出の増加を通じて企業業績が改善され

景気が良くなるというシナリオを前提としています。

 

しかし、記事の中では以下の2つの問題点を指摘しています。

 

1つ目の問題点は、日銀による大幅な金融緩和の結果円安が進行してから

1年以上が経過しているにも関わらず、

期待された輸出数量の増加という効果がいまだ見られないことです。

 

ここ数年の円高の中で製造業の多くが

生産拠点を海外へ移転していることが大きく影響しているようで、

期待した効果が表れるにはまだしばらく時間がかかりそうです。

 

また、円安効果により輸入コストが増大していますが、

企業が原材料等の輸入価格の上昇分を製品価格へ転嫁し、

家計の負担となっていることを2つ目の問題点として取り上げています。

 

結局、企業は円安による輸出増加の恩恵を受ける一方で、

輸入コストの上昇という負担は家計へ転嫁させることで

好業績を維持していると見ることができます。

 

反面、家計には実質所得の減少という

マイナスの影響が大きいということを懸念しています。

 

インフレは本当に景気を良くするのか

一般的に経済は物価が継続的に下落するデフレよりも

物価が継続的に上昇するインフレの方が望ましいものとされています。

 

デフレは物の値段が下がることで、企業の売上が減り、

従業員の給与引き下げや雇用削減という状況を生み出しやすいためです。

 

これに対して適度なインフレは企業の売上が増加し、

給与・雇用が増え、需要を増加させる効果があると考えられているためです。

 

しかし、インフレにも良いインフレと悪いインフレが存在します。

 

財政・金融を使った景気刺激策により需要が拡大して起こる物価上昇は良いインフレです。

 

他方、製造コストの上昇を製品価格に転嫁した結果起こる物価上昇は、

受給ギャップの解消につながらず、実質所得を減少させるので悪いインフレになります。

 

今の日本はデフレから脱却しつつあるとされていて、

そのことは統計上のデータからも確認することができます。

 

それでは、今のインフレは「良いインフレ」でしょうか、「悪いインフレ」でしょうか。

 

答えは残念ながら「悪いインフレ」です。

 

この「悪いインフレ」を「良いインフレ」へ変えるため、

政府は必死に企業へ賃上げの要請を続けています。

 

企業側も徐々にベースアップを受け入れるところが増えてきています。

 

しかし、企業側もグローバル経済の中で競争しているので、

無尽蔵に給与を上げる訳にもいきません。

 

今後の賃上げが経済にどの程度影響を与えるのかは非常に気になるところです。

 

企業の業績が良くなると豊かになるのか

このように、昨年に比べ大幅な円安の結果、企業の業績はかなり改善されてきています。

 

4月以降消費税の影響はあるでしょうが、

7月以降は再び景気は回復に向かうという強気な見方も多いようです。

 

日本企業の業績向上はもちろん望ましいことですが、

最近感じるのは、日本企業の業績と日本人の経済的豊かさとの関連性が

薄れてきているのではということです。

 

それには様々な原因が考えられるのでしょうが、

一つには日本の大企業は、日本に本社があっても

海外に多くの子会社を持っているケースが多いことがあります。

 

上場会社は決算上、海外子会社も含めた連結数値が公表の対象になりますが、

利益の多くを海外子会社で稼いでいるようなケースでは、

その利益が日本に還元されない限り直接日本が潤うことはないのです。

 

また外国人株主の割合増加も一つの原因だと思われます。

 

最近、株高による資産効果という話をよく聞きますが、

日本企業の株主は日本人だけではありません。

 

特にここ数年は外国人株主の割合が増えてきています。

 

企業業績が良くなると株価は上昇し株主は利益を得ますが、

株価上昇による利益の一部は海外投資家の利益になっているのです。

 

このように考えると、日本企業が利益を上げることは良いことですが、

それが直接日本の利益になり、日本の消費者の利益になる訳ではないということは、

何かを判断する際の基準として意識しておく必要があります。

 

経常収支の赤字がもたらすもの

最後に経常収支の赤字についてです。

 

去年の10月以降日本の経常収支は

大幅な赤字になっているということは目にされた方も多いかもしれません。

 

経済学では、民間部門の貯蓄超過は政府の財政赤字と

経常収支の黒字に等しくなるという恒等式が存在します。

 

理由はさておき、今までの日本は民間でたくさん蓄え、

財政は大幅な赤字、海外との取引の結果である経常収支は

大幅な黒字という組み合わせでバランスされてきました。

 

それでは、今後経常収支が慢性的な赤字になった場合、

どのような影響が考えられるのでしょうか。

 

最悪のケースとして財政赤字と経常赤字

という双子の赤字状態に陥ることも考えられます。

 

こうなると日本の国債が国内(民間の貯蓄)だけでは消化しきれず、

金利が急上昇する可能性が出てきます。

 

そうなるといま日銀が抱えている大量の国債に大きな含み損を抱えることになり、

日本への信頼がゆらぎ日本売りに発展するかも知れないのです。

 

ただし、実際には日本は海外に多額の対外純資産を有しているので、

今すぐこのような状況に陥る可能性はほとんどありません。

 

ですが、今のままの状態を放置しておくと、

10年も経たないうちに現実の問題となる可能性も否定できません。

 

必要以上に危機感を煽るつもりはありませんが、

少々景気が良くなってきたと言われても、浮かれず気を引き締めて

10年後、20年後を見据えて行動していかなくてはなりません。

 

もっともそれ程景気回復を実感している方はいらっしゃらないかもしれませんが。

 

税理士 荻原 岳志

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