飲食店の税務

月別アーカイブ: 11月 2013

2013.11.29

相続税の改正

平成25年度税制改正において、

相続税の大幅な見直しが行われています。

 

相続税の改正は、民主党政権時代から検討されていました。

 

今回の改正では最高税率が引き上げられているだけでなく、

基礎控除が引き下げられているので、

今まで全く相続税に関係なかった人が

今後申告・納税しなければならなくなるケースもかなり増えそうです。

 

今まで4%と言われていた相続税の申告割合

(死亡者のうち申告している人の割合)も、

6~7%程度に上昇することが見込まれています。

 

その結果を受けて、世間では相続税申告の事例検討や

節税対策といった類のセミナーが多く開かれているようです。

 

今回は、この改正がどのような内容で、

今後私たちにどのような影響があるのかを考えてみたいと思います。

 

まず相続税の計算の枠組みを確認していきますが、

相続税は民法の取扱いを前提としています。

 

そのため、民法の知識も欠かすことができないので、

本格的に理解するにはそれなりの労力が必要になってきます。

 

ということで、今回からは数回に渡って、

相続税の基本的理解のために

必要最低限知っておくべき項目について取り上げていきます。

 

まず初回は、民法での相続の取扱いを確認します。

 

その後、次回に現行相続税法の計算の仕組みを見ていきます。

 

そして最後に、今回の税制改正について詳細を確認していくという予定です。

 

民法における相続

旧民法では長男が戸主の身分と財産を単独で承継する

家督相続制度が用いられていました。

 

現在は、各相続人を平等に扱うことを前提とした均分相続となっていますが、

その結果、各相続人の権利意識が強くなり過ぎ、

相続財産の多寡に関わらず相続人間で話し合いがまとまらずに

家庭裁判所での調停へ持ち込まれるケースも増えているようです。

 

このような状況を考えると、

民法の取扱いは相続税の申告義務の有無にかかわらず

全ての人に適用されますので、最低限の知識は持っておくべきでしょう。

 

 民法第882条では、

「相続は、死亡によって開始する。」と定め、

第896条では「相続人は、相続開始の時から、

被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。

 

ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りではない。」

として相続人による財産の包括的な承継を規定しています。

 

なお、被相続人とは死亡した人、

相続人とは被相続人から財産を譲り受ける人のことを指しています。

 

相続の仕方にもいくつか方法があります

 

。被相続人の権利義務を無制限に承継するのが単純承認です。

 

単純承認した場合には、

相続人は被相続人の債務も全額引き継ぐことになるので、

被相続人が債務超過の場合には相続を放棄することで

債務の引き継ぎを免れることができます。

 

被相続人の債務の額がはっきりしない場合には、

被相続人の財産の範囲内で債務を承継する

限定承認という制度を使うこともできます。

 

これらの手続きは、相続発生後3ヶ月以内に申請する必要がありますので、

気をつけてください。

 

また、相続と同様の効果を有する行為に遺贈があります。

 

遺贈とは遺言により被相続人の財産を無償で譲与することです。

 

最近は遺言書の書き方を取り上げた書籍が良く売れているそうですが、

遺贈も相続税法上、相続と同様の扱いになります。

相続人

相続人とは、被相続人の権利義務を承継する人のことです。

 

民法では血族関係に基づく血族相続人と

婚姻関係に基づく配偶者相続人が定められています。

 

配偶者は常に相続人となり、

血族相続人がいる場合にはその血族相続人と同順位の相続人になります。

 

ここでいう配偶者とは婚姻届を出している法律上の配偶者であって、

内縁の妻は相続人にはなれませんのでご注意ください。

 

血族相続人には順位が定められていて第1順位は子になります。

 

実子・養子や嫡出子・非嫡出子による区別はありません。

 

ただし、後程改めて触れますが相続分について

嫡出子と非嫡出子の間で差が設けられています。

 

被相続人に子がいない場合、父母が第2順位の相続人になります。

 

子も父母もいない場合、被相続人の兄弟姉妹が第3順位の相続人となります。

 

このように民法では相続順位が明確に定められていますが、

被相続人を殺害したり、

遺言書を偽造したりすれば当然その相続人は相続する権利を失います。

 

また、被相続人への虐待や非行がある場合には被相続人が

生前に家庭裁判所へ請求することで相続人の相続権を

はく奪する廃除という制度もあります。

 

法定相続分

法定相続分とは、相続財産に対する相続人間の分割の割合のことで、

民法では相続人の組み合わせにより以下のように取り決めています。

 

①配偶者と子の場合・・・配偶者が1/2、子が1/2です。

子が数人いる場合には、1/2を均等に分割することになります。

 

現行の民法上非嫡出子の相続分は嫡出子の1/2とされていますが、

先日この取扱いは違憲であるとの判断が最高裁で示されています。

 

この判決を受け現在法務省でも民法改正を検討しているところです。

 

②配偶者と父母の場合・・・配偶者が2/3、父母が1/3になります。

 

父母ともに健在の場合にはそれぞれ1/3×1/2=1/6になります。

 

③配偶者と兄弟姉妹の場合・・・配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4になります。

 

兄弟姉妹が数人いる場合には、1/4を均等に分割することになります。

 

父母の一方のみ同じの半血兄弟は父母の双方を

同じくする全血兄弟の1/2とされています。

遺産分割

被相続人の遺産は相続人全員の協議で分割することとされています。

 

これが遺産分割協議と言われるものですが、

協議が調わないときは家庭裁判所に分割の調停をすることもできます。

 

分割の手法には、相続財産そのものを分割する現物分割・相続財産を

現金化した後にその現金を分割する換価分割・特定の相続人に

現物の相続財産を帰属させ、

現物を取得した人が他の相続人に対して債務を負担する代償分割があります。

 

どの手法を採用するかにより、相続税だけでなく、

所得税にも影響してくる可能性があるので慎重に検討してください。

 

遺留分とは

このように遺産分割は相続人間の話し合いにより行われるのが原則ですが、

全く自由に決められるわけではありません。

 

兄弟姉妹を除く相続人には、

相続人の生活保障等を考慮して相続財産の一定割合を

取得できる権利を遺留分として認めています。

 

遺留分の対象となる相続財産の割合は

相続人が被相続人の父母だけの場合は1/3、それ以外の場合は1/2です。

 

各相続人の遺留分は遺留分対象の相続財産に

法定相続分を掛けたものになります。

 

例えば相続人が配偶者と子2人だとすると

遺留分の対象になる相続財産の1/2、配偶者の法定相続分は1/2、

子それぞれの法定相続分は1/2×1/2=1/4ですので、

遺留分は配偶者1/2×1/2=1/4、子それぞれ1/2×1/4=1/8ということになります。

 

この遺留分は相続人に認められた権利なので

遺留分を侵害した遺産分割が行われた場合には、

遺留分を侵害された相続人は遺留分の減殺請求をすることができます。

 

なお、相続は生前に放棄することはできませんが、

遺留分は家庭裁判所の許可を受けることで生前に放棄することができますので、

遺産分割でもめそうな時は、事前に適用を検討してみてください。

 

税理士 荻原 岳志

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