飲食店の税務

月別アーカイブ: 9月 2013

ここのところ連日の猛暑からも解放され、

朝晩は涼しさを感じるようになってきました。

皆さんのお店も食欲の秋を迎え年末まで稼ぎ時なのではないでしょうか。

 

さて今回は、最近の経済状況についてお話ししてみたいと思います。

 

ここのところ、新聞では景気のいい話題が多く取り上げられていますが、

その一方で非正規雇用やワーキングプアといった言葉もよく目にします。

 

私のまわりにもクライアント先の社長さん含め、

景気がよくなっていると実感できない人が多くいます。

 

この新聞報道と現場の感覚とのズレは何を意味するのでしょうか。

 

私は経済に関しては素人ですが、

このズレの原因について少し考えてみたので、

興味のある方はお付き合いください。

 

最近の景気に関する報道

最近の新聞などで取り上げられている景気に関する情報は、

かなり明るいものが増えています。

 

内閣府が9日に発表した4~6月期の国内総生産(GDP)改訂値は

年率換算3.8%増で、8月発表の速報値(2.6%増)から

大きく上方修正されました。

 

潜在成長率が1%程度と言われている日本にとっては驚異的な数値です。

 

法人企業統計でも、4~6月期の設備投資は前年を上回り

既に底は打ったとの見方もあります。

 

日銀も9月の金融政策決定会合で景気の基調判断を上方修正しています。

 

このような報道を見ていると、

かなり景気は良くなってきている気がします。

 

ところが、実際に色々な人の話を聞いてみると、

意外と多いのが「アベノミクスなんて自分には関係ないよ」との回答です。

 

どうも円安の影響による電気・ガスなどの公共料金やガソリン代の上昇、

小麦粉や乳製品などの輸入食材の値上げというマイナスの影響の方が大きいようです。

 

デフレ脱却のためには物価上昇が必要

政府・日銀は当初からこのような物価上昇を想定していました。

 

もともと日銀による大幅な金融緩和はデフレからの脱却と

円安による輸出の増加を目的としたものです。

 

継続的に物価が下落するデフレは、経済規模の縮小をまねくので、

今の日本の借金規模からするとデフレから脱却しない限り

いずれ財政が破綻するという危険がついて回ります。

 

そこで、デフレ脱却のために日銀が用いた手法が、

市場への大量の資金供給です。

 

この大幅な金融緩和は「期待インフレ率の上昇」と

「円相場の下落」という2つの効果をもたらします。

 

まず、期待インフレ率とは人々が将来物価は

これくらい上昇(下落)するだろうと考える予測値です。

 

期待インフレ率を上昇させることが出来れば、

今必要なものは将来価格が上がる前に買ってしまおうと考える人が増え、

今の消費を増加させ、景気を刺激させます。

 

そのためには、市場にお金を大量に放出し、

お金の相対的な価値を下落させてしまえばいいのです。

 

また大量な資金供給は、

円相場の下落による輸入価格の上昇という経路からも

期待インフレ率を上昇させることになります。

 

次に、円相場が下落すると円安効果により輸出企業の利益が増加し、

そこで働く人の給料が増え、家計の消費を増加させます。

 

消費の増加は内需企業の利益を増加させるので、

同じようにそこで働く人の給料が増え、

更に消費を拡大させることで経済は拡大していくことになります。

 

良いインフレ・悪いインフレ

今回の景気対策は円安による輸入価格の上昇を起点としている点に

特徴があります。

 

本来、価格は需要と供給が一致するところで決まるのが大原則です。

 

需要が供給を上回る(生産が注文に追い付かない状態)

と物の値段は上がっていきます。

 

そうなると企業の生産活動は活発化し、

賃金も上昇し経済規模の拡大へとつながる好循環に突入します。

 

これが良いインフレです。

 

他方、電気や材料価格というコストの上昇による製品価格の引上げは

企業利益の拡大や賃金上昇につながりにくいので悪いインフレと言われています。

 

今回のケースです。政府は今、この悪いインフレを

良いインフレへ転換させるために、

規制改革を中心とした成長戦略を推進しようとしています。

 

また、好循環突入のポイントとなる賃金の上昇を

企業に促すための税制改正も検討しています。

 

今後景気が上向くのか下向くかは

これらの政策の効果次第と言えるかもしれません。

 

景気回復を実感できないのはなぜ

前置きが長くなってしまいましたが、

景気は回復しているのに実感できないのは何故なでしょう。

 

今がちょうど悪いインフレから良いインフレへの

転換点にあることも理由のひとつかも知れません。

 

しかしもっと根本的な原因として、

経済の主体が大きく二極化してしまっていることが

影響しているものと考えられます。

 

給与所得者で見るとここ数年、非正規雇用の増加が

給与所得者の平均年収を引き下げていて、

中間所得層と呼ばれる年収300万円~500万円の人が減ってきています。

 

そして、高所得者と低所得者との格差は拡大しているとの指摘もあります。

 

このような状況では、

新聞報道のように全体の平均が良くなったといっても、

それを実感できない人が多くいても不思議ではありません。

 

なぜ二極化するのか

このように経済の主体が勝ち組と負け組に二極化する背景には、

「経済のグローバル化」と「IT技術の発展」の影響が考えられます。

 

経済のグローバル化によって経営資源は簡単に国境を越えて移動します。

 

多国籍企業は、少しでも安い労働力や資源を求めて海外へ進出するため、

国内の景気が少しくらい良くなっても簡単に国内の賃金を引上げません。

 

提供できるサービスが単純労働だけでは、

代替できる安価な労働力がいくらでもあるので、

景気が良くなっても賃金は上がらないのです。

 

一方で一部の成功者は世界を相手に大きな利益を得ることになります。

 

更にIT技術の発展が格差を拡大させます。

 

IT技術の発展は生産効率を高め、企業利益を増加させます。

 

しかし、コンピュータが作業を代替してしまうため、

労働者にとっては失業をもたらす脅威となる可能性があるのです。

 

ここでもコンピュータを上手に利用する人は大きな利益を得、

付加価値の高いサービスを提供できない人は職を失うことになります。

 

これからどうする

このように好景気が実感できない人が多いのは、

経済が二極化していて中流以下の人が増えてきているためです。

 

そして、二極化の根本的な要因はグローバル化とI

T技術の発展にあると私は考えています。

 

これらの要因は決して悪いものではありません。

 

競争を促し生産性を高めるものですので、有効に活用すべきです。

 

飲食店の経営者である皆さんにとって、

グローバル化の話は他人事に感じられるかもしれません。

 

ですが、自分が海外に出ていかなくても海外から外国人はやってきます。

 

その時に備えて必要最低限の語学は

身につけておく必要があるかもしれません。

 

グローバル化の波から逃れることはできません。

 

グローバル化は、商圏を全世界へと拡大させます。

 

少し大げさでしたが、驚く程発達した日本の宅配という手段を用いれば

簡単に日本中に販売することが可能です。

 

しかしこれは裏を返せば、日本全国に競争相手がいるということなのです。

 

単純に、商圏を拡大すべきと言うつもりはありませんが、

本人の意識に関わらずグローバル化は回避できないのですから、

そのことを踏まえたうえで、情報を収集し行動すべきではないでしょうか。

 

また、IT技術の発達はパソコンを非常に便利な道具へ進化させました。

 

インターネット上での広告や情報交換は誰でも簡単にできるようになり、

原価管理や帳簿付けも専用ソフトを使えば簡単にできます。

 

今後も、どのような職種であれパソコン操作の重要性はより増してくるでしょう。

 

私自身、「グローバル化」と「IT化」、この2つを前向きにとらえ、

うまく利用していかなくてはと強く感じるこの頃です。

 

税理士 荻原 岳志

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