飲食店の税務

月別アーカイブ: 8月 2013

今月は、飲食店経営者の方にとっても利用できそうな

中小企業向けの支援制度を取り上げます。

 

皆さんは、経営革新等支援機関(以下認定支援機関といいます。

)という言葉をお聞きになられたことはありますか。

 

なんだか堅苦しい名前で飲食店の経営には

あまり関係がないような感じも受けますが、

よく調べてみると、そうでもないことが分かります。

 

今年3月31日をもって、中小企業の資金繰り悪化への対応策として

機能してきた金融円滑化法が期限到来を迎えたことは

ご存じの方も多いと思います。

 

円滑化法を利用していた事業者数は

30万社とも40万社とも言われていて、仮に円滑化法が終了した途端、

今まで猶予していた元本の返済を急遽当初の約定通りに返せ

ということになると資金繰りが逼迫し、倒産する中小企業が多発するおそれがありました。

 

そこで、このような経済状況の激変を回避するために、

政府は様々な政策を打ち出しています。

 

金融機関に対しては、

円滑化法終了後も円滑化法と同等の内容を法律や

監督指針・検査マニュアルに明記することで、

貸付条件の変更や円滑な資金供給に努めるように促しています。

 

また、金融庁や財務局に相談窓口を設置し、

専門機関の紹介なども行っています。

 

更に、信用保証協会による借換保証や

日本政策金融公庫等による

セーフティネット貸付の推進などで資金繰りを支援していくとしています。

 

このように、政府は様々な中小企業向けの支援策を用意していますが、

その中の一つに経営革新等支援機関

という制度が設けられることになりました。

 

以下では、この制度の概要をご説明し、

認定支援機関とはどのような機関なのか、

この制度を利用するとどのようなメリットが

あるのかについてお伝えしていきます。

 

制度の概要

中小企業庁のホームページでは

制度創設の趣旨を次のように述べています。

 

「近年、中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、

中小企業支援を行う支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、

平成24年8月30日に「中小企業経営力強化支援法」が施工され、

中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う

経営革新等支援機関を認定する制度が創設されました。

 

認定制度は、税務、金融及び企業財務に関する

専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の

個人、法人、中小企業支援機関等を、経営革新等支援機関として

認定することにより、中小企業に対して

専門性の高い支援を行うための体制を整備するものです。」

 

つまり、中小企業・小規模事業者が専門家からの

経営支援を受けやすいような環境を整備するための政策ということです。

 

認定支援機関とは

それでな、この制度の中心的な枠割を果たす認定支援機関とは、

どのような機関なのでしょうか。

 

認定支援機関へ登録するためには、

一定レベル以上の専門的知識や実務経験が必要とされていて、

主に金融機関や税理士・公認会計士・弁護士等を想定しているようです。

 

25年7月10日時点で13,459件の登録がありますが、

全体の7割を税理士・税理士法人が占めているそうです。

 

弊社もそのうちの1社ですが、

これだけ税理士の登録数が増えたのは、

後に触れる税制上の優遇措置の存在が大きいものと思われます。

 

認定支援機関が行う主な支援業務は、

①中小企業の経営資源や財務内容の分析、

②経営革新のための事業計画策定・実施の指導・助言になります。

 

つまり現状を把握し、経営分析等で問題点を抽出して、

解決のための計画を立案するということです。

 

計画立案後も計画の実行支援や継続的なモリタリングが求められます。

 

また、「中小企業の会計に関する基本要領」

と言われる企業会計の基準に従った記帳支援も要求されています。

 

税理士という立場からは、

適正な会計データを作成することにより現状を把握し、

出来あがった試算表から財務分析を行い、

問題点などを把握しながら目標数値の設定や

資金計画を立案するといった流れになってくるものと思われます。

 

計画立案の過程では、

金融機関や各種コンサルタントなど

それぞれの専門の機関との提携も必要になってくるでしょう。

 

計画が出来た後は、適時に実績数値を集計し、

計画との差異を検証することになります。

 

当然、差異があれば原因を究明し、

改善のための対策を検討することになります。

 

経営改善計画策定支援事業

認定支援機関を利用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

 

もちろん専門家の支援により早期に経営を改善できるということもありますが、

これだけではあえてこのような制度を設ける意味がありません。

 

認定支援機関制度については、

平成24年度補正予算・平成25年度当初予算において

一定の予算が割り当てられているのです。

 

借入金の返済負担など

財務上の問題を抱えている中小企業・小規模事業者の多くは、

自ら経営改善計画を策定することが難しいだろうということで、

認定支援機関が経営改善計画の策定を支援する場合に

その費用の3分の2を補助しようではないかということになりました。

 

認定支援機関は必要に応じて他の専門家とチームを組んだり、

外部委託したりすることも出来るようなので、

対象となる中小企業・小規模事業者にとっては、

少ない費用負担で専門家の力を借りることが出来る制度となっています。

 

注意しなければいけないのは、

この制度を利用する際に認定支援機関がメインバンク以外の場合には、

メインバンクから経営改善計画に協力しますとの確認書面を

入手しておかなければならないということです。

 

つまり、金融機関の協力がなければ

この制度は使えないということです。

 

そのためには合意形成にむけた説明や

打合せなどお互いに緊密な意思疎通が重要になってきます。

 

金融機関の協力というハードルはありますが、

再建計画策定費用の3分の2を補助金で賄えるので、

この機会に利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

商業等活性化税制

更に、認定支援機関を利用するもう一つのメリットとして

税制上の優遇措置があります。

 

認定支援機関への税理士の登録が圧倒的に多い理由のひとつだと思われますが、

平成25年度税制改正で時限立法として設備投資減税が設けられました。

 

これは、26年4月からの消費税率引き上げに備え、

商業・サービス業・農林水産業を営む

中小企業・小規模事業者が一定の設備投資をした場合に

特別償却または税額控除を認めるというものです。

 

具体的には、平成25年4月1日から平成27年3月31日までに取得した1台

または1基の取得価格が30万円以上の器具・備品と1の取得価格が

60万円以上の建物附属設備が対象となっています。

 

これらを取得した場合に、

普通償却に加え30%の特別償却

もしくは7%の税額控除が出来ることになっています。

 

ただし、この特例制度を使うには、

認定支援機関からの経営改善に関する

指導・助言を受けることが条件となっています。

 

認定支援機関への税理士の登録が多い理由として、

自分のクライアントへの上記節税対策の提供という

側面が大きいものと思われます。

 

皆さんも今期利益が出そうであれば、

積極的に活用しましょう。

 

税理士 荻原 岳志

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