飲食店の税務

月別アーカイブ: 7月 2013

今月(7月)は3年ぶりに参議院選挙が行われます。

 

憲法改正や原発への対応、

アベノミクスと言われている経済政策への評価などが

争点だと言われています。

 

参院における少数与党というねじれ国会を解消させ政治の安定を目指すのか、

与党の独断専行に対する歯止め効果を野党に期待すべきか、の選択でもあり、

私たち有権者もいろいろと悩むところです。

 

良識の府として改めて参議院の存在価値を見直し、

政党政治から脱却すべきだとの意見もあります。

 

そこで今回は、選挙結果がどうなるかの予想はさておき、

各党がこの参議院選挙で掲げている公約の中から

税制に関する部分を抜粋し比較してみたいと思います。

 

法人税にしても、所得税・消費税にしても

税金の計算方法は法律で定められていて、

その法律は国会で審議されることになっています。

 

ということは、国会での多数決で税制が決まるということなので、

各党の租税に対する考え方も投票に際しての判断基準のひとつとすべきです。

 

以下では、早速各党の今回の参議院選挙での公約を見ていきます。

 

紙面の都合上、全政党を取り上げることは出来ませんが、ご了承ください。

 

自由民主党

まずは政権与党の自民党からです。

 

今回公表されている公約の中で

「民間投資を喚起する成長戦略」

「企業から家計への波及、雇用と所得の増加」

「財政健全化への着実な歩み」といったことが謳われています。

 

そのために、税制面から以下のような措置を講ずるとしています。

 

・思い切った投資減税を行い、法人税の大幅な引下げを実行する

 

・国・地方のプライマリーバランス

(毎年の政策的な経費が税収などの毎年の収入でどの程度賄われているかを表す数値。)

について、2020年度までに黒字化する

 

・平成25年度税制改正にて新たに創設された

生産等設備投資促進税制・所得拡大促進税制や

従来の制度が拡充された研究開発税制・交際費課税特例の活用を促す

 

・消費税は全額社会保障に使う 

 

公明党

次は連立与党の公明党です。連立与党ということで

自民党と大きな違いはないようですが、公約として以下のような項目を取り上げています。

 

・子や孫へ再生エネルギーに関する投資について贈与した場合、

贈与税を軽減する制度を創設する

 

・環境・エネルギー、健康・医療・介護などの特定の分野での研究開発に対して、

研究開発促進税制の税額控除率を引き上げる

 

・製品ライフサイクルが短い先端分野における設備投資の

早期回収を可能とするための税制措置を検討する

 

・事業承継を円滑にするため、事業用資産についての相続税の軽減措置を講じる

 

・地域の雇用創造を自発的に推進する企業に税制優遇を検討する

 

・女性の社会進出を推進し、

仕事と子育ての両立支援などに取り組む企業に対する税制優遇を充実させる

 

・低炭素化を促進する観点から税制全体のグリーン化を推進する

 

・自動車取得税の廃止・エコカー減税拡充・自動車重量税の廃止・自動車税の廃止

 

・消費税率引き上げに際して、軽減税率の導入

 

民主党

前政権与党の民主党は生活者・働く者の立場に立ち暮らしを

守る力になるということで、以下の項目に取り組むとしています。

 

・中小企業を支援するために事業承継・印紙税・交際費課税などを強化・改善する

 

・税金と医療・年金の保険料、雇用保険の保険料をまとめて扱う歳入庁を設置する

 

・2015年度プライマリーバランス赤字半減、2020年度黒字化

 

・所得再分配の観点から「所得控除から(給付付き)税額控除へ」の流れを進める

 

・消費税引上げの低所得者対策として給付付き税額控除を導入する

 

・自動車取得税・重量税の廃止

 

日本維新の会

続いて石原氏・橋下氏のツートップ体制で挑む日本維新の会です。

 

維新八策を掲げ、既成政党との違いを主張していますが、

以下のような項目を取り上げています。

 

・所得税・法人税の引下げ

 

・広く薄い年金目的の特別相続税の創設

 

・消費税の地方税化と地方間財政調整制度の創設

 

・歳入庁を創設し、所得課税・社会保険料の徴収漏れを防ぐ

 

・マイナンバーの活用で所得・資産を正確に把握し、公正な課税・徴収体制を構築する

 

みんなの党

みんなの党では公約のことをアジェンダと呼んでいますが、

その中で名目成長率4%を目指し大胆な規制改革を進めるとしています。

 

特に電事連・医師会・農協を既得権の象徴とみているようです。

 

・投資資金の償却期間を自由に決められる自由償却税制を導入する

 

・実体に合わない様々な税制特別措置を抜本的に見直す

 

・法人税実効税率を20%へ引き下げる

 

・ノーアクションレター制度(法令適用事前確認手続)の

適用範囲拡大や利用促進を通じ、官僚による裁量行政を排除する

 

・のれん代の非資産化または一括償却を認める

 

・消費税増税の凍結・地方税化

 

・税と社会保険料を一元的に管理する歳入庁を設置

 

・マイナンバー制度を活用して低所得者層への給付付き税額控除方式を導入

 

日本共産党

組織票が強いと言われる共産党は、応能負担を原則に、

所得の少ない人には少なく、所得の多い人にはより多く負担してもらうと主張しています。

 

・消費税増税を中止し、将来的には廃止をめざす

 

・所得税・住民税の最高税率を引上げ、累進税制を強化する

 

・配当や株式譲渡所得を給与と同じ総合課税とし、富裕層に応分の負担を求める

 

・相続税・贈与税の最高税率を引上げる

 

・一定の金額を超える資産を保有する者に対して、毎年富裕税を課税する

 

・大企業の法人税率を引き上げ、

研究開発減税や連結納税など大企業を優遇している制度を見直す

 

・所得税・住民税の基礎控除を引き上げる

 

・中小企業向けの法人税率を引下げる

 

・事業用資産の相続時に相続税の減免制度を設ける

 

生活の党<\h1>

 

民主党から分離独立した小沢氏率いる生活の党は

国民の「いのち」「暮らし」「地域」を守る国づくりを実行するとしています。

 

・消費税増税の凍結

 

・企業が賃上げをしやすくなるような税制措置を講じる

 

・住宅ローン減税などにより住宅取得の負担を軽減する

 

・中小企業の投資促進のための投資減税・加速度償却等を導入する

 

社民党

最後になってしまいましたが、社民党です。

1%の人のための「強い国」ではなく、

99%の人のための「やさしい社会を」と訴えています。

 

・消費税増税の撤回を実現

 

・所得税最高税率の引き上げ・累進性の強化

 

・所得税基礎控除の倍増・給付付き税額控除の導入

 

・金融所得への課税強化

 

・相続税最高税率の引き上げ

 

・事業承継税制の適用要件の緩和

 

将来の税制はどうなる

以上、各政党の公約の中から税制に関する部分を取り出してみました。

 

最近は毎年の税制改正が場当たり的で、

長期的にどのような租税体系を構築したいのかが見えてこないとの批判もあります。

 

実際、租税特別措置法という法律で一定の要件のもと、

一定の期間だけ税金を優遇するという特例制度が非常に多くなっています。

 

選挙目当ての場当たり的な対応なのかも知れません。

 

更に、東日本大震災からの復興支援のための復興税や、

消費税引上げに際しての経過措置への対応などもあり、

税務の現場は今後更に混乱しそうです。

 

あまり税制が複雑になると同じ所得でも

優遇措置の存在を知っていたかどうかで、

納める税金が大きく違ってしまうこととなり、

公平性の面からも問題です。

 

歳入と支出のバランスはもちろん、

税収に占める法人税・所得税・消費税・相続税等、

それぞれの割合について、少子高齢化という将来の人口構成を前提としつつ、

どのような税収体系にすべきか長期的なビジョンを明確にすべきです。

 

当然、日本国内の事情だけではなく、

国際社会の一員として、他国の課税状況も考慮して検討することが必要です。

 

各党の公約の中では、将来の税制のビジョンを見て取れるところもあれば、

部分的に優遇措置を講じると記載されているだけのところもあります。

 

今回の選挙では税制が大きな争点になっていないということもあるのでしょうが、

もう少し党としての税に対する基本的なスタンスというものを

示してもらってもいいような気がします。

 

税理士 荻原 岳志

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